現在どの業界・企業においても課題として挙げられているのが、業務の効率化や生産性の向上だ。そのための便利なツールやサービスを提供している企業は少なくない。株式会社オルツ(以下、オルツ)もそのうちの1社だ。
オルツでは、AIがリアルタイムに議事録を作成してくれるサービス「AI GIJIROKU」を提供している。昨年、日経新聞の記事で採り上げられたのを機に、お問い合わせ数が爆発的に増加。現在はZeQのコンタクトセンター代行サービス「カスタマーサクセスセンター」(以下、CSC)を利用して問い合わせ対応を効率化している。今回は事業部長の浅井 勝也氏、事業企画部 事業開発ディレクターの西澤 美紗子氏に、CSCを導入した背景やメリットなどを伺った。
オルツはAI人工知能の研究開発を通し、あらゆる人がデジタルクローンを持つ世界を目指している。デジタルクローンとは、デジタル上に存在する自分自身のクローンだ。デジタルクローンが浸透した世界になれば、買い物などの雑用、言わばあまりやりたくないことを、自分の趣味嗜好を理解している自分の分身が対応してくれる世の中を実現できる。
そのための1つとして「AI GIJIROKU」というサービスがある。
AI GIJIROKUは運用開始からおよそ1年半が経ち、導入企業は2000社以上、アクティブユーザーは約2万人にまで成長している。音声データから文字起こしを行うサービスは複数あるが、著しい成長の背景には、以下のような、企業にとって便利で嬉しい機能や特徴がある。
使えば使うほどAIが学習し、数十人が参加する会議でも精度の高い議事録を瞬時に作成できる。会議の多い日本企業にとって、特に便利なサービスといえるだろう。
昨年の日経新聞の記事で採り上げられて以来、問い合わせ数が急激に増加したのも納得の結果といえる。問い合わせ数、ユーザー数が増加するAI GIJIROKUだが、浅井氏は「もちろん嬉しい」と答えつつ、次のように話した。
浅井氏:「サービスを立ち上げたばかりの頃は、ユーザー数が少なかったので、メールのみで問い合わせ対応をすることができていました。しかし問い合わせ数が急激に増加したことで、自社で対応するのが難しくなりました。そこでカスタマーサポートを外部に委託しましたが、人力対応では限界がありました。」
西澤氏:「体感ですが、問い合わせ数は約30倍ほど増えたため、問い合わせ処理が間に合わない状態でした。」
SaaS型のサービスでは、機能やプランに関する質問など、同じような問い合わせが発生してしまう。またメール対応は属人的なやり取りが必要で、対応しなければならない問い合わせが溜まっていく。
さらに、カスタマーサポート、技術、営業それぞれに、AI GIJIROKUに関する知識に偏りがあり、問い合わせ対応のスピードや品質に差が生じることもあった。
浅井氏:「問い合わせを効率化するために、有人チャットやチャットボットでの対応やFAQの充実など、仕組みづくりをすることになりました。そこで、Zendeskを検討することになり、具体的にどのようにカスタマーサポート管理ができるのかを伺った結果、非常に便利なことがわかりました。チャットはタグを埋め込むだけで簡単に設置することができますし、FAQは直観的な操作で記事の作成が可能で、アップデートや管理がスムーズでした。また問い合わせ・組織・属する人毎の分類や、応対のステータス管理ができるということで、当社が望んでいたことにマッチした点が導入の決め手でした。」
CSCを導入する前のオルツでは、カスタマーサポート専任者を置くことができず、手が空いている人が対応するという状態になっていた。しかし現在はサポート業務をZeQに一任できるようになっている。オルツ内でカスタマーサポートに関わるのは西澤氏を含め2名で、チャットツールSlackを通して、応対内容の確認につき日々やり取りをしている。
西澤氏:「ZeQさんにはスーパーバイザーが1名、オペレーターが3名いらっしゃいます。まずは弊社の業務内容を細かくヒアリングしていただき、Zendeskの構築から応対スクリプトの作成、窓口開設までを1ヶ月弱で立ち上げてくださいました。その後、オペレーターの方にナレッジを共有しながら並行して運用、3ヶ月目くらいには安定した対応をしていただけるようになりました。
また、CSC導入以前はどの問い合わせに返事したかを完全に把握できず、対応漏れが発生していました。現在ではZendeskのチケット*管理により、対応完了、未完了、対応中のステータスがわかるようになり、問題はどこに発生してるのか、誰の対応待ちなのかーーーを可視化ができるようになりました。ZeQさんからリマインドもいただけるので、対応漏れをなくすことができました。安心して応対ができるようになったと思います。
知識がないと回答できない問い合わせが多い中、短期間でカスタマーセンターの立ち上げ・応対をしていただきとても助かりました。
*チケット…問い合わせを「チケット」として、一元管理できる。サポート記録はチケット番号で管理されるため、問い合わせチャネルが異なっても一貫したサポートを行えるほか、サポートの経過を残したり、追跡システムとして利用できる、といったメリットがある。
Zendeskは問い合わせを担当者毎に振り分けることができる。例えばメディア関係の問い合わせがあれば、メディア対応を担当する西澤氏にZeQがチケットを振り分ける。その他、テック系、請求関係、開発依頼、バグ報告などの問い合わせの内容に応じてタグを付けることも可能だ。
▼担当者毎の振り分けイメージ
▼タグ付けイメージ
西澤氏:「Zendeskの画面を開けば、自分が対応しなければいけないチケットが一目瞭然で、社内への共有も簡単です。」
浅井氏:「CSC導入の大きなメリットとしては、カスタマーサポートを一任できたことです。社内のカスタマーサポート担当の2名は、技術メンバーとのハブの役割をしています。AI GIJIROKUのようなサービスでは、技術的な話やバグに関するお問い合わせが多く、ZeQさんではそのような問い合わせへの対応は難しいため、社内のサポート担当をゼロにすることはできません。しかし高度な内容以外の問い合わせは、すべてZeQで完結できる体制を短期間で構築できたのはすごく良かったと思います。」
西澤氏:「以前は業務時間の30%くらいがサポート業務でしたが、現在は5%くらいに減りました。
大変助かっています。」
どの部署も全員がサポート対応していたオルツだが、ZeQに一任できたことで、本来の業務に集中できるようになった。さらに、SaaS型のサービスで重要視される数値管理に力を入れる余裕が生まれたという。
オルツではCSC以外にJウィジェットの活用も開始した。Jウィジェットは、ウェブサイトにタグを貼り付けるだけでチャットボットが簡単に設置できる。機能のひとつである階層式チャットボットは、ウィジェット内でFAQ記事を選択式にて提示し、解決しない場合は有人チャット、電話、メールの導線を用意することが可能だ。また、チャットボットに対してどのような質問が多いのか、どのような点が解決できず有人対応が必要だったのか等、詳細なデータの取得、分析ができる。
浅井氏:「Jウィジェットで1番期待しているのは有人チャットです。リアルタイムに対応できる有人チャットは、カスタマーサクセスに活用できると思います。お客様の満足度向上や営業へ繋がれば、カスタマーサポートより広い波及効果が得られます。
基本的にAI GIJIROKUのようなSaaSサービスはウェブ上で完結、究極な話、問い合わせをゼロにしたいと思っています。例えば、8割くらいはFAQページでお客様に自己解決していただき、残りはチャットで質問していただくような、シンプルな形態を目指しています。」
オルツは今後もサービスを増やしていく予定だ。「AI GIJIROKUで培ったサポート対応のノウハウも、他サービスで横展開していきたい」と浅井氏は語る。サービスが増えても、サポート業務をZeQに一任できれば社内の負担を抑えられる。
浅井氏:「AI GIJIROKUのサポート業務では、AIの知識が求められます。他サービスのサポート業務でもその知識を転用できるので、2つのサービスを同じ担当者が対応することも可能でしょう。
サポート業務に関する多種多様なノウハウを持つZeQは、立ち上がりがスピーディーで、連携もスムーズです。弊社が必要とするサポートのあり方をしっかりと形作ってくれるため、他のサービスも安心してお任せできると思います。」
西澤氏:「CSCを依頼する前は、ただのサポートしかできていませんでした。ZeQさんはカスタマーサクセスとして、私たちのことも、お客様のことも考えて動いてくれていると思います。他社にご紹介したいくらい感謝しています。」
最後に浅井氏に今後の展望について伺った。
浅井氏:「AI GIJIROKUのユーザー数や利用企業数について、ナンバーワンを目指していきたいです。例えば、金融業界に強いパートナーとBtoB向けの販売チャネルを拡大したり、医療系に強いパートナーと拡大したり、といった展開を考えています。
ユーザー数獲得の次は「オルツID」の活用です。独自のIDをユーザーに付与して、AI GIJIROKUのみならず、他のサービスでもシングルサインオンでログインできる、そういった仕組みを作っていきたいです。
AI GIJIROKUで蓄積した情報やログなどが他サービスに連携され、デジタルクローンの学習用データとして蓄積されます。オルツのサービスを使っていれば、いつの間にかその方のデジタルクローンができている。そんな最終形態が、我々の今のビジョンです。」
AIやロボットが人間の代わりに働いてくれる、そんな未来を実現してくれるのがオルツのような企業だろう。AIを研究している企業の成長が、ひいては私たちの生活の発展につながるはずだ。
しかし問い合わせ対応に時間も労力も割かなくてはいけない状況では、肝心のAI技術の研究開発はままならない。これはAIに限らず、他の分野でも同じことがいえるのではないだろうか。
そこで是非、ZeQのCSC活用を検討してほしい。本来の業務に集中できる環境づくりはこれからの企業に欠かせない。ぜひこの機会に詳細を確認してみて欲しい。