インターネットやパソコン・スマホの普及により、ECサイトを利用する機会が増えている。特に昨今では新型コロナウイルスの流行により、外出を自粛して自宅で過ごす人が増えており、ショッピングもECサイトを通じて家で済ます人が増えた。

ECサイトを運営する上で欠かせないのがカートシステムだ。EC需要の高まりによりカートシステムの需要も年々高まっている。

今回はZendesk(ゼンデスク)を活用して、EC基幹システム「ecforce」に関する問い合わせに対応している、株式会社SUPER STUDIO(以下、SUPER STUDIO) customer management groupの塩津氏、佃氏、足達氏の3名にお話を伺った。

問い合わせを一元化できるツールの導入を検討

2014年設立のSUPER STUDIOでは、EC基幹システム「ecforce」を提供している。ecforceの導入企業が400ショップを超える中で、クライアントからのお問い合わせに対応しているのが、customer support unit(カスタマーサポートユニット)だ。customer support unitでは、増加する問い合わせに対応するため、問い合わせを一元化できるツールの導入をコロナ禍以前から検討していた。

塩津氏複数のクライアントから同時に電話が来ても対応できるようにしたいと考えて、ツールを探していました。検討している中でコロナウィルスが流行り出し、これは急いで導入しなければいけない、と一気に検討をスピードアップすることになったのです。

佃氏弊社では2つの要件を満たすツールを探していました。1つ目は電話やメール、その他のチャンネルから入ってきたお問い合わせの一元管理が可能であること、そして2つ目はユーザー情報と紐付けられることです。

前職でSaaS型のクライアント対応ツールを利用していた経験があり、きっちりカスタマイズさえできれば使いやすいという感覚があったので、弊社のクライアントの規模やIP電話を使用できるということから、Zendeskを選びました。

 

テレワークへの移行も思ったよりスムーズに

SUPER STUDIOでは2020年4月に発令された緊急事態宣言を受け、テレワークの導入にも踏み切った。出社できない状況で突然Zendeskを導入することになったが、現場の混乱は生じなかったという。API活用で対応漏れを防ぐ!Zendeskで問い合わせの一元管理・対応スピードを改善した株式会社SUPER STUDIOの事例
塩津氏
テレワークもZendeskも導入が突然だったので最初は心配もありましたが、実際にやってみたら誰がオンラインなのかが一目瞭然で、電話の録音データも残せるので、思っていたよりもスムーズにテレワークへ移行できました。

現在クライアント数が急激に増えていますが、Zendeskを導入したことでその日のうちに対応しきれなかった問い合わせ数を把握できるようになり、今の状況ならcustomer support unitで働く従業員数をこのくらい増やさないといけない、というのも考えやすくなりました。

佃氏Zendeskにまずは電話を導入し、その後にメールを移行しました。一時的に電話はZendesk、メールはもともと使用していた他ツールと分かれていたため、ツールを行ったり来たりというのはありました。しかしまずは電話に慣れて、その後本格的にZendeskでのチケット*運用を始めたという流れが結果として良かったと思います。

*チケット…お問い合わせの管理・状況把握のための概念

 

customer support unitでは直近1年で従業員数が大幅に増加。数名で問い合わせに対応していた頃は、誰がどの案件を対応しているのか、どれだけ電話を取っているのかを把握できていたが、メンバーが増えることで把握が困難になり、従業員の人事評価もしづらくなってしまった。

そんな中でZendeskを導入したことにより、問い合わせ対応を定量的に把握できるようになったというメリットもあった。Zendeskでは監査ログやIP制限といったセキュリティ面の機能も充実している。誰が何をしたのか確認できることに安心感もあるという。

ヘルプセンターの公開と活用について

API活用で対応漏れを防ぐ!Zendeskで問い合わせの一元管理・対応スピードを改善した株式会社SUPER STUDIOの事例

customer support unitでは最近、Zendeskで作ったヘルプセンターの公開を開始した。ヘッダーに大きく検索窓が表示されているため検索するときに困らず、またヘルプページの内容を見てオプションに興味を持った際は「オプション申込」の導線も表示されているため、スムーズに使用できるのが特徴だ。記事右側に目次が固定表示されるので、読みたい箇所にジャンプもしやすい。

足達氏社内でヘルプセンターを一から作成しましたが、直感的な操作でヘルプ記事を作成できるので簡単でした。Zendeskが海外企業の製品であるため、一部英語表記で使い方が分からないときもあるのですが、困ったのはその程度でしたね。

佃氏ヘルプセンター内の情報が少し足りていないとか、誤字脱字があるとか、表記が古いとか、気付いた人が更新の依頼を出して足達が対応しています。以前はその依頼を出すのも、詳細をまとめて依頼するというのがなかなかの手間になっていましたが、今は簡単にZendesk上で依頼できるので運用しやすくなりました。その結果、更新回数が増えてヘルプセンターの内容を充実させることができています。

記事が充実したヘルプセンターがあれば、クライアントからの問い合わせ内容に関連する記事をメールで送信するなど、問い合わせ対応時にも活用できる。実際、customer support unitでは、ZendeskのAnswer Botを使用して、問い合わせ内容に関連する記事を探してきてもらい、それをもとに対応することもあるそうだ。

佃氏Answer Botは、お客様がWebフォームからお問い合わせをされたときにおすすめ記事を回答したり、メールでの問い合わせに対して、回答と想定される記事を自動返信したりすることができます。その最適化が今後の課題だと思っています。もう少しお客様にとってぴったりの回答を表示できるように調整が必要ですね。

お問い合わせの一元化で工数が激減し、
解決までの時間も短くなった

当初の目標であった問い合わせの一元管理。実際にZendeskで一元管理したことで、どのような変化が見られたのだろうか。

塩津氏お問い合わせの一元管理ですが、1つのシステムとして管理できるようになったことで非常に工数が下がりました。電話で受けた問い合わせをメールで返すのも簡単になりましたし、それこそメールでFAQをお送りすることもスムーズにできるようになって、Zendeskを導入して非常に良かったと思います。

佃氏頂いたお問い合わせを翌日に持ち越すことが非常に減りました。体感ではありますが、解決までの時間も短くなったと思います。

なおSUPER STUDIOでは、APIを積極的に活用している。例えば、1日対応が遅れた問い合わせがあった場合はSlackに通知を飛ばして対応漏れを防いだり、対応可能なオンライン状態のエージェント数を5分に1回ほど自動チェックし、一定のしきい値よりも少ない場合に通知が飛んだりするように設定している。その他にも、アカウント台帳の自動更新や、ヘルプページに掲載しているサポートからのお知らせをecforceの管理画面上に表示できるようにして、ユーザーの利便性を高めるといった工夫も行っている。

▼APIを活用したオンライン状態のエージェント数のチェックのイメージ

API活用で対応漏れを防ぐ!Zendeskで問い合わせの一元管理・対応スピードを改善した株式会社SUPER STUDIOの事例

▼アカウント台帳の自動更新のイメージ

API活用で対応漏れを防ぐ!Zendeskで問い合わせの一元管理・対応スピードを改善した株式会社SUPER STUDIOの事例

▼APIを活用したお知らせ表示のイメージ

API活用で対応漏れを防ぐ!Zendeskで問い合わせの一元管理・対応スピードを改善した株式会社SUPER STUDIOの事例
API活用で対応漏れを防ぐ!Zendeskで問い合わせの一元管理・対応スピードを改善した株式会社SUPER STUDIOの事例

佃氏Google Apps Scriptで大きなコストも掛けずに簡単に実装できました。それほど時間も掛からないので、ちょっとした空き時間で完了します。

お客様も我々もハッピーな対応にできるのが理想

一見、問い合わせ対応がうまくいっているように思えるSUPER STUDIOだが、まだまだ改善が必要な点もあるという。Zendeskで効率化できている部分もあるが、新規導入企業が増えているために、そもそもの問い合わせ件数がずっと伸びている状態なのだ。

塩津氏チャットボットも検討しましたが、まだ導入には至っていません。理由としては2つあって、1つ目はヘルプセンターの充実化が必要という点です。チャットボットで「この記事ですか」と返すためのコンテンツがまだまだ足りていないからです。2つ目は、チャットボットでは返せないような複雑な質問が多いという点です。扱うのがシステムなので簡単な質問が少なく、「よくある質問」としてまとめられるものがあまり多くありません。

佃氏お客様もチャットで問い合わせる場合は、すぐに返信がこないとストレスを感じやすくなると思うので、もしチャットを導入するとなれば有人チャットで、かつ潤沢に人数がいることが前提と考えています。現状はオペレーターの習熟度によって返すスピードも異なりますし、電話もメールもチャットもできるほど人数が足りていないので、チャットは見送っています。

今後もZendeskを用いたサポートの質向上やヘルプセンターのコンテンツ拡充、体制の改善などが必要だ。時間も手間も掛かるだろう。しかし今後目指していくcustomer support unitとしての姿には、それらの改善は必要不可欠だ。

API活用で対応漏れを防ぐ!Zendeskで問い合わせの一元管理・対応スピードを改善した株式会社SUPER STUDIOの事例

塩津氏私たちcustomer support unitは、会社の中でお客様と一番近い部署だと思います。それこそお客様と一緒に物事を考えて、トラブルも解決して、感謝の言葉をいただくこともあれば、反対にお叱りを受けることもあります。お客様に寄り添わなければいけない職種です。

問い合わせの電話の音が鳴るとちょっとドキドキしちゃうというのもあると思うんですよ。そういうのを、まず「うちのシステムは本当に誇れるものだ。すごい便利なものだ」という自信を持ってもらって、電話がかかってきたら大体解決できるという状況が理想です。それこそ頂いたお問い合わせの大部分が解決できるようなことになれば、今よりもっと楽しいと思える仕事になると思います。

まずはecforceがお客様にとってより重要なシステムになっていくことを目指して、その上でお客様と良い関係を築けていけたらと思っています。

佃氏できるだけ自己解決できるということが、お客様にとっては一番嬉しいんですよね。電話をかけてオペレーターに話をする場合、もちろん電話がすぐ繋がれば解決するスピードが早いのですが、たまたま対応できる人がいなかったとすると、お客様を待たせてしまいます。

それよりも1回や2回のやりとりで終わるような簡単な内容に関してはFAQで自己解決していただき、それ以上の難しいものは我々がきっちり対応できるようにすると、すぐに解決できるようになって、お客様も我々もお互いにハッピーになるんじゃないかなと思っています。

顧客の満足度だけでなく、カスタマーサポートメンバーの意欲向上のためにも、「スムーズに解決できる」環境づくりは欠かせない。提供できるサポートの質や種類を増やすと同時に業務の効率化を図れるZendeskは、その環境を実現できる1つの答えといえるだろう。SUPER STUDIOの事例のように、APIを活用すればコストを掛けずに、よりZendeskの機能をフル活用してサポートの質を高めることができる。

「Zendeskの導入に興味がある、しかし活用に自信がない」という場合は、ZeQが提供するZendesk伴走活用支援サービス「Success(サクセス)」もある。Zendeskで今抱えている課題を解決できないか、まずは導入を検討してみてほしい。

プレミアサポート

月1回のミーティング(オンライン/対面)とSlackのコミュニケーションで、わからないことを気軽に相談。難しい専門用語を使わずに、運用ご担当者さまの視点に寄り添った支援をご提供します。

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構築代行

「自社に合ったZendeskの構築方法がわからない」「設定方法に不安がある」Zendesk認定資格保有者が在籍するZeQなら、運用シーンごとに最適なソリューションを実現。運用開始後も同じメンバーがご支援を継続します。

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