Zendeskはカスタマーサービスソフトウェアで、豊富な機能を持っていますが、管理画面上で設定できる範囲には制限があります。 Zendeskが公開しているAPIをはじめとした技術仕様を利用することによって、より自社の業務に合ったシステムとして拡張することができます。この記事では、Zendeskのカスタマイズ例を紹介します。

チケットフィールドへの入力

Zendeskの標準機能では、チケットやユーザー情報などに対して、テキストボックスやプルダウンの選択オプションをカスタムフィールドとして設定し、独自の項目でユーザーや問い合わせの属性を管理することができます。チケットの場合にはカスタムフィールドへの情報は、通常ZendeskのWebフォームやエージェントによってデータが入力されますが、属性APIを利用することで外部システムから情報を入力することが可能です。例えば、ZendeskのWebフォームを使用せずに独自で制作しているWebフォームを利用した場合でも、ユーザーが入力した内容をAPIを通じてチケットフィールドへ反映することが可能です。

プライベートアプリケーションの開発

Zendeskの標準機能では実現できないことでも、Zendeskの管理画面上に独自のアプリケーションを実装することで、実現できるかもしれません。例えば、メッセージ送信時にアラートを表示して誤送信を防止したり、外部システムで管理しているデータを参照するアプリケーションを実装し、複数の画面を見ずに応対できるようにすることが可能です。

💡 プライベートアプリケーションが実装できるのはSuite Growthよりも上位のプランです。

自動化ワークフローの構築

Zendeskには、「トリガ」や「自動化」などの特定の条件を満たす場合に自動的にアクションを実行する機能があります。チケットの作成・削除、ユーザーの登録・削除、外部サービスへの投稿などは標準で用意されたアクションではできないため、webhookやAPIを活用して実行することになります。

カスタムレポートの作成

APIを使用して外部システムからデータを取得し、カスタムフィールドにインポートすることで、カスタムレポートの抽出条件として使用することができます。また、Webhook機能を使用することで、外部システムからZendeskにデータを自動送信し、カスタムフィールドに格納することができます。また、Zendeskのデータを外部の分析サービスに連携することで、カスタマーサービス周りのデータをマーケティングデータや商品購入データなどと組み合わせて、自由性の高い分析をすることも可能です。

Guideテーマのデザイン変更

Zendeskのヘルプセンター構築機能であるGuideでは、標準テーマが用意されており、すぐにヘルプセンターやFAQサイトを公開することができます。また、Zendeskが提供する標準テーマ以外にも、Zendesk Marketplaceから多数のテーマが提供されており、必要に応じて変更することができます。テーマは画像や色、フォントなど基本的なデザインを変更できますが、管理画面上での設定は一定の制限があります。HTML、CSS、JavaScriptのソースコードを編集することにより、自社のブランドにあわせたデザインのカスタマイズが可能になります。ただし、一般的なHTML、CSS、JavaScriptの知識に加えて、Zendeskの特殊仕様に関する知識が必要な点に注意してください。

多言語対応のFAQ構築

Zendeskは、多言語対応するための機能が充実しています。FAQサイトに代表されるヘルプセンターについては、言語毎にヘルプ記事を作成したりデザインを変えることが可能です。言語別にページを用意する場合にはカスタムページ機能を利用する必要があり、HTML、CSS、JavaScriptのソースコード編集が必要です。また自動翻訳をする機能ではないため、必要に応じてGoogle翻訳やDeepL翻訳に代表されるような外部翻訳サービスのAPIとの連携が必要です。

まとめ

Zendeskは、技術的な専門知識が不要で、多機能を利用できるサービスです。しかし、公開されているAPIなどの技術仕様を用いることで、カスタマイズができる拡張性の高いサービスでもあります。積極的に拡張にもチャレンジし、自社の業務に合わせてZendeskを最大限活用しましょう。