国内で3000社を超える企業で導入されている「Zendesk(ゼンデスク)」。カスタマーサポートやカスタマーサービスなど、企業が顧客体験を支援するための部門・業務で活用できる機能を搭載したツールです。Zendeskにはさまざまな機能があり、それらを使いこなすことで顧客満足度の向上が見込めます。
この記事では、Zendeskの主な機能や活用方法を紹介します。これから導入を検討している方だけでなく、すでに利用しているという方も、Zendeskの機能をきちんと使いこなせているのか改めて確認してみましょう。
Zendesk(ゼンデスク)とは?
Zendesk(ゼンデスク)とは、カスタマーサービス用の『Zendesk for Service』と営業支援ツールCRMの『Zendesk for Sales』の2つのパッケージが展開されているクラウドサービスです。
本記事で紹介する『Zendesk for Service』は、メールやチャットでの問い合わせ対応、FAQページ作成など顧客対応に必要な機能が充実しています。主にカスタマーサポートやカスタマーサービス、カスタマーサクセスなどの部門で導入されていることが多く、クラウド上で使える利便性や充実した機能性などから日本企業での導入が進んでいる状況です。
【無料ダウンロード資料】「Zendeskの基礎知識」
Zendesk について情報収集中の方に。
Zendesk の特徴や活用パターンをまとめたeBookです。
Zendesk(ゼンデスク)の特長
Zendeskはカスタマーサービスの質を向上するための機能が揃っていると同時に、効率化にも威力を発揮します。プラットフォームとしての大きな特長を3つご紹介します。
カスタマーサポートに必要な機能を兼ね備えたプラットフォーム
Zendeskは、問い合わせ管理、チャット、電話、ソーシャルメディアサポートなど、さまざまな顧客サポートチャネルを一元管理できます。これにより、複数のチャネルからの問い合わせを効率的に処理し、顧客に一貫したサポート体験を提供できます。またFAQページやコミュニティ作成も可能で、カスタマーサポートに必要な機能が1つのプラットフォームで利用できます。
カスタマイズ可能なワークフローと自動化機能
Zendeskは、トリガや自動化ルールを設定することで、サポート業務を効率化できます。例えば、特定の条件が満たされた場合に自動的にチケットに担当者を割り振ったり、Slackなどに通知したりすることが可能です。また、APIやアプリケーションのマーケットプレイスを利用して他のツールやシステムと連携し、カスタムワークフローを構築することもできます。
データ分析とレポート作成機能
Zendeskは、サポートチームのパフォーマンスや顧客の満足度を可視化するためのレポート機能も揃っています。ダッシュボードでリアルタイムでの対応状況を確認できるほか、カスタムレポートを作成して特定のKPIを追跡することも可能です。これにより、サポート品質の向上や業務改善に必要なヒントも得られます。
Zendesk(ゼンデスク)の機能
Zendeskは顧客対応業務に活用できる多様な機能が搭載されています。そのうち、主な機能を見ていきましょう。
お問い合わせのチケット管理
自社に寄せられたお問い合わせをチケット形式で管理できる機能は、Zendeskの主要な機能のひとつです。お問い合わせ1件につきチケット1枚が発行され、担当者やステータスを管理できるため、対応の漏れ・遅れや重複対応を防ぎます。
▼チケットごとのステータスや担当者を一覧で確認できる
電話、メール、Webサイトのお問い合わせフォーム、LINEなど、顧客が問い合わせを行うチャネルは多岐にわたります。通常、各チャネルの問い合わせ内容はそれぞれのプラットフォームやツールなどで管理しますが、Zendeskではそうしたマルチチャネルからの問い合わせを集約して一元管理できます。
メール
自社ドメインのメールアドレスを連携して利用中のメーラーに届いた顧客からの問い合わせをZendeskに転送するように設定することで、Zendesk上からメールの送受信が可能になります。メールでのやり取りの履歴は、前述のチケットに自動的に保存されるため、自分でメールの内容を転記する必要はありません。
Webチャット、AIチャットボット
Zendeskにはチャット機能も搭載されています。リアルタイムで顧客対応ができるようになるため、顧客の問題解決までのスピードアップにつながり満足度向上が期待できるでしょう。
また、有人対応だけでなく、AIチャットボットによる無人対応も可能です。FAQやマニュアルなどをAIシステムに学習させることで簡単な問い合わせには自動対応できるため、オペレーターの工数削減につながります。一次対応をチャットボットが行い、複雑な問い合わせはオペレーターによる有人対応に引き継ぐといった活用方法もできるでしょう。
▼AIチャットボットによる無人対応
▼オペレーターによる有人対応への切り替え
チャットを導入したいページにタグを貼り付けるだけで簡単に始めることができるため、プログラミングのスキルがなくても導入できる点もメリットです。
関連記事:
Zendesk(ゼンデスク)のチャット機能を使いこなせていますか?チャット機能の活用方法まとめ
ヘルプセンター(FAQ)の構築
よくある質問と回答をまとめたヘルプセンター(FAQページ)を作成する機能もあります。FAQは簡単に作成できるだけでなく、自社に合わせてデザインをカスタマイズできるため統一感のあるWebサイトになります。
顧客から寄せられる問い合わせ内容をよくある質問としてまとめておけば顧客自ら問題解決ができるようになり、サポートチームの工数削減が見込めるでしょう。
関連記事:
Zendesk Guideとは何か?機能や利用方法、価格設定について
クラウド電話
クラウド電話機能も搭載されており、自社に固定電話を設置しなくてもパソコンやスマートフォンなどで顧客対応ができるようになります。
電話の受発信のみならず、自動音声応答(IVR)機能や担当者への振り分け機能、電話番号のテキストメッセージの送信などもできるため、電話による顧客対応業務がはかどります。
コミュニティフォーラムの構築
顧客同士で交流できるコミュニティフォーラムを構築・運営できる機能もあるため、顧客同士で質問を投稿して回答し合ったり、情報交換をしたりできる場を提供できます。コミュニティには企業側も参加できるため、顧客同士で解決できない問題はサポートに入ることも可能です。
顧客同士や企業と顧客間のコミュニケーションが盛んになれば、ファン心理が醸成され、信頼関係が向上するでしょう。
顧客情報管理
Zendeskでは、顧客の氏名や連絡先などの基本情報ややり取りの履歴、購入履歴など、顧客に関するさまざまな情報を一元管理できます。社内の顧客情報を集約して確認できるため、顧客一人ひとりにパーソナライズしたアプローチが可能になるでしょう。
分析とレポート生成
Zendeskには高度な分析機能が搭載されており、担当者ごとのパフォーマンスや問い合わせ内容別の傾向など、多様なデータを可視化して分析できます。分析内容はレポートとして出力されるため、自分で表やグラフを作成する必要はありません。
Zendeskの分析・レポート生成機能により自社のボトルネックや顧客のニーズを分析できれば、効果的なネクストアクションを打ち出せるでしょう。
Zendesk for salesについて
この記事では詳しく扱いませんが、Zendesk for selesは営業支援サービスの機能を備えたパッケージです。電話、メールの利用から商談のスケジューリングや取引履歴の確認といった操作を1か所で行うことができます。
顧客からの問い合わせをカスタマーサポート部門が対応した場合でも、情報は一元管理されているので、営業担当もすぐに確認することが可能です。Zendesk Sell(Zendesk for sales)の機能を使うことで社内での情報共有に時間を取られることがなくなるでしょう。
Zendesk(ゼンデスク)の導入メリット
こうした機能を備えたZendesk(ゼンデスク)を企業が導入することでどのようなメリットが得られるのか、どうして導入する企業が増えているのか、そこにはおもに7つの理由が挙げられます。
コンタクトチャネルの増加による問い合わせの増加が期待できる
チャット、メール、電話、メッセージ.など、顧客がコンタクトするチャネルが増えることで、問い合わせそのものの増加が期待できます。より気軽に問い合わせができることで疑問点を速やかに解消できるため、成約率のアップも期待できます。
お問い合わせを一元管理し、対応効率を改善
先述した内容の繰り返しになりますが、これら多彩なチャネルからの問い合わせを一元管理することで、データを可視化・共有してスタッフ全員の対応効率を改善していくことも可能です。
顧客満足度の向上
気軽に問い合わせができ、しかも迅速に対応してもらえるなら当然顧客満足度の向上も期待できるでしょう。カスタマーサポートの評価が企業・サービス全般の評価にいかに密接に結びついているかは「あの会社はカスタマーサポートに電話してもちっともつながらない」「メールを送っても返事が来ない」といった厳しい評価がしばしば見られることからも明らかです。
問い合わせ対応に関するコストの削減
データを一元化し、回答や対応の手順を共有化して、さらにフォーマットの作成や自動回答を活用することで、問い合わせ対応に対するコストを大幅に削減することも可能です。
カスタマーデータの蓄積と活用
先述したようにカスタマーデータを蓄積し、分析することで環境の見直しや対策を立て、よりよいサポート環境の構築に役立ちます。
ブランド価値の向上
顧客満足度が高まり、カスタマーサポートへの信頼が高まればブランド価値の向上も期待できます。「あの会社・店ならいつ問い合わせてもすぐに対応してくれる」という信頼感がブランド価値の向上に大きく寄与することでしょう。
社内ヘルプデスクとして社員教育コストを削減
社内ヘルプデスクとして活用すれば、社員教育コストを削減することもできます。若手社員、経験が浅い社員が疑問や不明点を抱えた場合にも、わざわざ先輩や上司が教えることなくヘルプデスクを参照することで解決できます。自分で考え、調べて解決することで社員のビジネスマンとしての自意識を向上させていくのにも役立つでしょう。
Zendesk(ゼンデスク)のライセンス料金
Zendeskの料金プラン比較
Zendeskには、以下4つの料金プランが展開されています。
Teamプラン | $55/月 |
Growthプラン | $89/月 |
Professionalプラン | $115/月 |
Enterpriseプラン | 問い合わせ |
※2024年5月現在
すべての料金プランで基本機能は利用できる
上記すべてのプランにおいて以下の機能を利用できます。
- チケット管理
- メール
- 音声電話
- メッセージング
- ヘルプセンター(FAQ)
- SNS
- 自動化
- APIアクセス
どの料金プランでもカスタマーサポート業務で欠かせない機能を利用できるのは、Zendeskの強みと言えるでしょう。ただし、プランごとにできることは異なりますので、詳細については、ZeQの料金表ページをご確認ください。
【業界・目的別】Zendeskの機能の活用方法
ここまでの内容から「Zendeskは機能が豊富だと理解できたが、自社のビジネスに活用できるのだろうか」と感じている人もいるかもしれません。幅広い業界・業種で活用されているため、業界や目的に合わせた活用方法を紹介します。
ソフトウェア業界
ソフトウェア開発は一度販売すれば終わりではなく、クライアントの事業の拡大・成長に応じてアップデートしたり、随時サポートしたりする必要があります。
金融・保険
これまで、金融・保険関係の店舗やカスタマーサービスは基本的に「平日の夕方まで」「電話のみ」など、問い合わせできる状況が決められていることが通常でした。
しかし、ネット銀行やネット証券といった店舗を持たない金融企業が増えてきた昨今、カスタマーサービスはいつでも・どこでも問い合わせができるものであるといった状況が一般的になっています。
Zendeskの機能を使えば、電話やチャットなど顧客のニーズにマッチしたチャネルで対応できます。顧客ごとに最適化されたアクションを自動的に実行できる機能もあるため、有人対応が難しい曜日・時間帯でも顧客対応ができるようになります。
金融・保険
これまで、金融・保険関係の店舗やカスタマーサービスは基本的に平日の夕方までしか営業していないことが通常でした。しかし、ネット銀行やネット証券といった、店舗を持たない金融企業が増えてきた昨今、カスタマーサービスはいつでも・どこでも問い合わせができるものであるといった状況が通常となってきています。
Zendeskの機能を使えば、お客様からのお問い合わせが電話でもチャットでもニーズに合った対応をすることができます。お客様に最適化されたアクションを自動的に送信できるといった、人員を割かなくても顧客満足度を向上させることのできるサービスも数多く用意されています。
教育業界
教育業界にもオンラインの波が広がり、欠席連絡をオンライン化したり提出物をペーパーレス化したりすることも珍しくありません。しかし、学生や保護者、教職員といった年齢層がバラバラの人々が集まるため、コミュニケーションをとろうとしても、それぞれの世代において主流の連絡手段が異なるといったこともあるでしょう。Zendeskの機能を利用することで、メール、電話、メッセージングアプリからの問い合わせを一元化して管理することができるので、滞りのない対応をすることができるようになります。
ECサイト運営事業者
ECサイトには、顧客から多くの問い合わせが寄せられます。たとえば「返品したい」「送料を知りたい」などがあるでしょう。こうした問い合わせに個別に対応することもできますが、ZendeskのチャットボットやFAQといった機能を活用すると、定型的な問い合わせには自動対応が可能になります。
小売業
小売業では、商品の在庫状況や使い方、クレームなどの多くの問い合わせが届きます。カスタマーサービスの対応次第で、その後も自社のファンで居続けていてくれるかが変わる可能性があります。
Zendeskで電話やメールなどのマルチチャネルによる顧客対応を効率化するだけでなく、過去のやり取りの履歴や購入履歴などを参照しながら一人ひとりのニーズに合った対応ができるため、顧客満足度向上につながり継続的な利用が見込めるでしょう。
メーカー、製造業
メーカーや製造業でも、商品の取り扱い状況や使い方などに関する問い合わせは少なくありません。そのため、Zendeskを活用して顧客対応を効率化することで、顧客満足度を向上してブランドの信頼性を高められます。
またチャットボットやFAQを設置して顧客の問題解決をサポートすることで、顧客は問い合わせのやり取りの手間がなくなり利便性が向上します。Zendeskの機能を活用すると、取引の履歴をすぐに確認できるため、最適なタイミングで次の提案が可能になります。また、過去のやり取りの履歴も蓄積されていき、担当者の異動や退職などによる引き継ぎもスムーズです。
医療業界
医療の現場ではZendeskを利用することで、よりパーソナライズされたサポートとケアを提供できます。電子健康記録、医療機器、診療予約履歴といった重要な情報をまとめる作業の時間を減らすことができ、患者のために時間を使うことができるようになります。
Zendeskの導入企業事例
最後に、Zendeskを導入している企業の事例を紹介します。
ソニービズネットワークス株式会社
ソニーグループの中で主にBtoBのクラウドサービスを展開しているソニービズネットワークス株式会社は、クラウド勤怠管理システム「AKASHI(アカシ)」の事業でZendeskを導入しています。手軽に、かつ専門的な質問に答えられるようにするため主にチャット機能を活用しており、導入から約1年半でチャット経由の問い合わせ件数が9割強を占めるほどになりました。コロナ禍で電話窓口を閉鎖してチャットへ移行したこともあり、今では完全テレワークが実現しています。
ベースフード株式会社
「BASE PASTA」や「BASE BREAD」などの開発・提供をしているベースフード株式会社では、Zendeskを活用して顧客満足度向上を実現しています。具体的には、顧客の自己解決を促進するFAQサイトを公開し、蓄積されたデータを活用して顧客満足度と対応スピードの関係性を分析し、スピーディに対応できるようシフト調整や人材配置を行っています。事業拡大に伴い問い合わせ件数も増加していますが、80%後半という高水準の顧客満足度を維持しているのは、Zendeskを活用した仕組み作りの成果と言えるでしょう。
Zendeskの機能を使いこなして業務効率化!
Zendeskには、業務効率化や顧客満足度向上などにつながる豊富な機能が搭載されています。そのため、Zendeskを使いこなすことで売上にも好影響が期待できるでしょう。
しかしながら、すべての機能を満足のいくほど活用するのは難しいものです。「Zendeskを導入したいが、機能を使いこなせるか心配」「すでに導入しているが活用できていない」といった場合には、Zendeskの導入・運用支援を行っているZeQにぜひご相談ください。
ZeQは社員の約半数がZendeskの認定資格を保有しているため、専門的な視点からZendeskの導入・活用をサポートします。
Zendeskをすでに導入しているが機能活用に困っている場合や、これから導入したいが機能が使いこなせる自信がないという場合は、些細なことでもお気兼ねなくお問い合わせください。