こんにちは!もう1年も終わりに近づいてきましたね。

Zendeskを導入してしばらく経つと、「問い合わせ対応をそろそろAIで自動化したい」と考え始める方も多いのではないでしょうか。
一方で「どこから設定して良いか分からない」「現場のオペレーター負荷が本当に減るのか」という悩みから、足踏みしてしまう現状もあろうかと思います。

そこで、今回このコラムで紹介するのはZendeskが特に力を入れている機能「Zendesk AIエージェント」です。
今回は、Zendeskを既に長年利用している方だけでなく、利用開始して間もない企業の方にも最新機能を活用していただくために、Zendesk AIエージェントを実務視点で徹底解説していきます!

AIエージェントとは?

Zendesk AIエージェントとは、Zendeskに蓄積されたデータ(FAQ、過去チケット、ナレッジ)や連携した外部システムのデータを活用し、顧客の質問意図を理解して対応する自律型AIです。

従来の「決められたシナリオを辿るチャットボット」とは異なり、自然言語を理解し、文脈に沿った回答を返せるのが特徴です。
主に以下のような役割を担います。

  • よくある問い合わせへの自動応答
  • FAQやヘルプセンター記事の案内
  • オペレーターに引き継ぐ前の一次対応
  • 問い合わせ内容の要約・分類

従来型チャットボットとの違い

Zendesk AIエージェントを導入する上で押さえておきたいのが、従来型チャットボットとの違いです。

①シナリオ型 vs 意図理解型

従来型のチャットボットは、「はい/いいえ」の二択や決められた選択肢に対する回答で分岐し、顧客の用件を絞り込んでいくのが特徴です。
シナリオを組む前提のため、サービス提供側の想定問答に当てはまらない場合には、顧客が先に進めずに迷子になることもあります。
一方、Zendesk AIエージェントは、ユーザーの入力文から「何を聞きたいのか」を推測し、ナレッジベースから関連性の高い情報を参照し、回答を生成・提示します。
そのため、内容に多少誤字があったり質問が曖昧だったりしても、コミュニケーションを断絶することなく、回答を提示できる柔軟さが強みです。

②メンテナンス負荷の違い

従来型チャットボットは、シナリオや分岐を人が細かく設計・修正する必要がありました。
よって問い合わせが増えたりサービス内容が変わるたびに修正が発生し、「結局メンテナンスが大変」という声も少なくありません。
一方でZendesk AIエージェントは、会話シナリオの設計は最低限に、AIがナレッジベースから自律的に回答を生成して返信する仕組みなので、FAQやナレッジを更新することで回答精度が向上します。つまり「チャットボットのための作業」ではなく「本来運用でやるべきナレッジ整備」がそのまま活用できる設計です。

③ベテラン担当者のように寄り添う

従来のチャットボットは、答えが決まっているような問い合わせを無人で対応できる工数削減の目的が強かったように思えます。

AIエージェントによるチャットボットは、さらにその先、個別の事象における具体的な前提条件に対して、まるでベテランの担当者のように、気の利いたサポートを提供し、顧客のサポート体験を向上させることも可能です。
AIエージェントによるサポートは「解決」という結果そのものだけでなく、そこに至る体験までもを変革させる可能性があります。

※一部、Advancedプランの機能も含まれます。

AIエージェントをすぐにでも始めてもらいたい理由

AIエージェントは、もっと成熟した企業向けではないかと思われるかもしれませんが、実は導入初期の企業ほど相性が良いケースもあります。理由は大きく3つあります。

①問い合わせ傾向が見え始める時期

Zendesk導入から半年〜1年ほど経つと、「よくある質問」「繰り返し対応している内容」が、チケットとして蓄積されてきます。このデータは、Zendesk AIエージェントにとって非常に重要な学習材料です。

②FAQ・ナレッジ整備と同時に進められる

Zendeskを導入して間もない場合、FAQやヘルプセンターが「まだ未完成」な状態であることが多く、実はこのフェーズこそAIエージェントと非常に相性が良い時期です。

 AIエージェントを導入する過程では、「どの質問をAIに任せるか」「どの回答をナレッジとして整備すべきか」を改めて整理する必要があります。この作業が、結果的にFAQやヘルプセンター全体の見直しにつながります。
さらに、整備されたナレッジはそのままAIエージェントの学習データとして活用されるため、ナレッジを整えるほどAIの回答精度が上がるという好循環が生まれます。
導入初期にこの仕組みを作っておくことで、将来的に問い合わせが増えても対応品質を保ちやすくなり、FAQやナレッジ自体が企業の資産として積み上がっていく点も大きなメリットです。

③自動解決数に対して課金不要でお試しができる

ZendeskのAIエージェントは、既存で契約している「自動解決数」の範囲内で一定の機能を試すことができます。
問い合わせ量もまだ爆発的に多くはない時期こそ、現行運用の延長線でAIエージェントを試しやすいフェーズと言えます。

追加コストを気にせず、「どの問い合わせがAIで解決できるのか」「どんな効果があるか」を実運用の中で検証できるため、失敗リスクを抑えながら導入判断ができる点は大きなメリットです。

導入前に押さえておきたい留意点

Zendesk AIエージェント導入に際して、予め注意しておいた方がよいことがあります。

①ナレッジが整備されているかが精度に関わる

AIエージェントはFAQやヘルプセンター、過去のチケットといった既存の情報をもとに回答します。そのため、ナレッジが整理されていない状態では、AIも正確に答えることができません。すべてを完璧に整える必要はありませんが、よくある問い合わせだけでも見直しておくことで、導入初期の精度は大きく変わります。


②業務の一部を任せるという意識

AIエージェントは単独で機能するものではなく、既存の業務フローの中で使われる存在です。どこまでをAIに任せ、どのタイミングで人が対応するのかを決めておかないと、かえって現場の負担が増えてしまうことがあります。

例えば、問い合わせ対応をAIに任せたものの「どの時点で人に引き継ぐか」を設計していなかった結果、AIが回答しきれない内容をお客様が何度もやり取りした後にオペレーターが対応することになり、オペレーターは最初から対応するよりも時間がかかってしまった、というケースです。
問い合わせをする方の中には、人に聞きたい、人に話したいというニーズは一定数あります。「どんな問い合わせが人による対応が望ましいのか」顧客や問い合わせ内容の属性を整理しながら顧客コミュニケーションを設計できるとよいでしょう。

③AI導入の目的を整理する

AI導入の目的を工数削減だけにしてしまうと、期待とのズレが生じやすくなります。
カスタマーサポートには、人の判断が必要な問い合わせが必ず存在します。そうしたケースまでAIに任せようとすると、顧客満足度が下がったり、現場の負担が逆に増えたりすることもあります。
Zendesk AIエージェントの本来の価値は、人を置き換えることではなく、オペレーターが考えるべき仕事に集中できる環境を作る点にあります。単純な問い合わせ対応をAIに任せることで、人はより重要な対応に時間を使えるようになります。

Zendesk AIエージェントは、小さく始めて運用しながら育てていく仕組みです。まずは限定的な範囲で使い、実際の反応を見ながら調整していくことで、無理なく効果を実感できるようになります。運用フローを整理し、事前に最適な活用を設計することをおすすめします。

まとめ:次の一手は「AIエージェント」

Zendesk AIエージェントは、従来型ボットの課題を補い、人とAIが協力するカスタマーサポートを実現するための機能です。
Zendeskを使い始めて経験値を蓄えてきた今だからこそ、AIという選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
ZeQでは、Zendesk導入・運用フェーズに合わせた AIエージェント活用の設計支援も行っています。「自社に合う使い方が分からない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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